こんにちは!昭和印刷出版です!
紙工とはなんだ?
本日より、「連載企画・紙工とはなんだ?」と題しまして、印刷業界のある意味要ともいえる紙工について、何本かに分けて記事を掲載していきます!
1本目となる今回は、「抜き加工」についてです!
ぜひ最後までよろしくお願いします!
抜き加工は、「型どおりに抜く加工」のこと
抜き加工とは、紙や金属などのさまざまな素材を型どおりに抜く加工のことです。
夏のお祭りによくある「型抜き屋さん」を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。
抜き加工の中にもさまざまな種類があります。
抜き加工の種類
・型抜き加工
型抜き加工とは、用紙にあらかじめ用意しておいた金型をプレス(とても強い力で押さえる)することで穴を開ける加工のことです。
型の形は基本的には自由で、どんな形でも作れます。
金型の材質の都合上細かい形は対応できないことがあります。
主な用途としては店内ポップやコースター、ダイレクトメールなどが挙げられます。
・トムソン加工(ビク抜き)
トムソン加工は、ベースとなる板に刃を埋め込んだ型を使ってプレスする加工方法です。
ゴムには刃が埋め込まれていて、その刃が飛び出すことで材料を打ち抜くという仕組みです。
またトムソン加工という呼び方は主に関西地方で使用されており、関東では「ビク抜き」と表現されることが多いようです。
実際関西で仕事をしている私は、トムソン加工という言葉は何度か聞いたことがありましたが、ビク抜きという言葉は、この記事を書くにあたって調べるまで知りませんでした。
自動平盤打抜機
トムソン加工で使われる機械のうちの1つに、自動平盤打抜機というものがあります。
自動平盤打抜機とは、刃を埋め込んだベニヤ板で紙を1枚ずつ自動でプレスする機械のことを言います。
オートトムソンを略してオートンと呼ばれたりもします。
紙を切りながらスジを入れたりミシン入れを同時に行ったりできます。
通常、受注するたびに型を作るので型代が必ずかかりますが、直線など簡単な形であれば型代なしで注文を受けてくれる企業さんもあります。
また、アニメのキャラクターの切り抜きなど複雑な形は型の作成の都合上できない可能性があります。これも時と場合によるのでお問い合わせしてみると良いでしょう。
トムソン加工の工程
トムソン加工における工程は大きく分けて5つです。
型の製作
まずお客様からこの部分に穴を開けてほしい、などのご依頼をいただいたら、その依頼をもとにトムソンの型を製作します。型のもとは図面、現物、データなど形式を問わず作成できます。
材料の手配
次に材料を手配します。
お客様から材料を直接頂く場合とメーカーから手配する場合があります。
材料の裁断などの抜き加工前準備
材料と型が用意出来たら、打抜機に合ったサイズに材料をざっくり裁断していきます。また、素材の貼り合わせなどもここで行います。
打ち抜き
ここまでできたらいよいよ打抜の工程に入っていきます。
材料や形によって打抜機を変える必要があり、この段階で先ほどの刃を埋め込んだ木型を使用します。
仕上げ、検品、梱包
打ち抜きが終わったら仕上げの工程です。
打ち抜いたときに出たカスを取り除いたり組み立てをしたりして、出来上がった製品を指定の個数で箱に詰め、納品します。
また、納品する際にはしっかりとミスや不良品がないかをチェックします。
以上がトムソン加工の工程です。
トムソン加工のメリットですが、型の製作費が金型のプレスでの抜き加工に比べて安い、型の製作期間が短いことなどが挙げられます。これにより試作品など小ロットでの加工にも対応しやすく、一度型を作ってから修正して再度型を作り直すなどが可能です。また、加工の納期も金型に比べて短くなります。
以上がトムソン加工についての説明でした。
プロッターカットとレーザーカット
抜き加工では木型を使わずにデータから材料をカットする方法もあります。
機械に取り付けた刃を、データにもとづいて動かす加工を「プロッターカット」、
レーザーで材料を焼き切る加工を「レーザーカット」といいます。
どちらもトムソンに比べて繊細なデザインに適しています。
レーザーカットでは高温で材料を焼き切るため、材料にススがついたり焦げがついたりすることがあります。
トムソン加工は型を作るなどの工程があるので大ロットの製品に向いています。
逆にプロッターカットやレーザーカットは型が必要ではないので試作品などの小ロットに向いています。
用途によって使い分けましょう。
まとめ
今回は「紙工とは何ぞや」第1回として抜きの加工についてご説明いたしました。
第2回以降は、紙に光沢をもたせる「PP加工」や、穴あけ、スジ入れなどさまざまな加工をそれぞれ紹介する予定ですので、お楽しみに!
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございました。